Suica / PASMOなどICカード乗車券を長期間使いつぶす方法

タイトルの残り

"を調べてみた"

はじめに

SuicaSuica定期券のサービスが始まって20年近く、PASMOは同定期券のサービスが始まってから12年の年月が経っているわけでありますが、一番最初に手に入れたカードを後生大事に所持し続け、障害再発行などせずに定期券を更新し続けている人もいることでしょう。

一方で大概の鉄道会社では "ICカード乗車券取扱規則" で、券面に表示するべき事項 (券面表示事項) が不鮮明になった場合には使用してはならず、再印字を請求しなければならない旨を定めています。従ってボロボロになったPASMOSuicaを使い続けることはこの規定に反することとなり、最悪の場合不正乗車として定期券情報の削除、もしくは残高を含むICカードの没収だけでなく、定期券の使用開始期間から毎日その区間を往復したものとして運賃2倍の罰金と運賃に相当する額 (つまり片道運賃の6倍×日数) が請求される恐れがあります (実際問題電磁的に定期券情報が読み取れればそんなことはないと思うが)。

従ってこの規則に合致したうえで古いカードをを使い続けるためには、カード表面の印字層 (ロイコ層) をいたわって利用しなければなりません。いたわるためには、同じ場所ばかりを書き換えない・熱を加えない・こすらない、という手段が挙げられます。

今回の記事では、同じ場所ばかりを書き換えない、熱を加えないの2点に限って紹介したいと思います。こすらないというのは読んで字のごとく、そのままでしかありませんので。

熱を加えない方法

体温はカードに悪い

上では熱を加えないというのがロイコ層をいたわるためには必要としています。この熱を加えないというのはどの程度なのでしょうか? 実は体温が連続して伝わっている程度でもあまり良くないのです。

実体験から書かせていただきますと、以前ぼくはPASMOを財布に入れ、その財布はズボンのポケットに入れて保管するということを行っていました。6ヶ月定期を購入すると、定期を更新しなければならない頃にはもう印字内容が消えており、それだけでなく発券直後の段階で、既に印字したことのある部分は二度と発色しない状態になってしまいました。一方でGoogle画像検索をすると、何度か書き換えた定期券であっても鮮明に印刷が続けられています。従って体温でそれ相応の熱ストレスが加わっていたことが予想できます。

ボロボロのPASMO定期券

ボロボロのPASMO定期券 (右にずれている理由は後述)

このため、パスケースなどに入れて保管・携行し、できる限り人間が過ごしやすい程度の室温で保管することが重要であると考えられます。

同じ場所ばかりを書き換えない方法

大概の人は同じ区間を3年以上、延々と往復することになるでしょう。従って印字面の同じ場所に執拗に印刷することを避ける方法は正攻法では思いつかないでしょう。

ですが、意外と同じ場所ばかりを書き換えず、印字面をまんべんなく書き換えようとする方法は存在しています。この項目ではそれらを紹介していきます。

発券する機械・場所を変える

普段あなたはどこで定期券を買っていますか? PASMO定期券を持っている人は定期券窓口ですか? それとも定期券の販売に対応した券売機でしょうか? Suica定期券を持っている人はみどりの窓口指定席券売機ですか? それとも黒い多機能券売機でしょうか?

わざわざこういうことを書くことからお判りだとは思いますが、実は券売機やICカード印刷機のメーカ・機種の違いによって微妙に印刷のレイアウトやフォントが異なります。特にJR東のみどりの窓口指定席券売機 (MARS系) と黒い多機能券売機 (定乗印発機系) とでは大幅にデザインが違い、詳しくはこちらのページ (定期券券売機を多機能券売機に読み替える必要がある) や、こちらのページを参考にしていただくと解りやすいかと思います。ちなみにmanacaの例とはなりますが、名古屋市交通局はJR東のそれと同じくらい定期券窓口と券売機での発券とでは券面デザインが異なります

東京メトロのように複数社・複数機種の券売機を採用している場合はこれまでに使ったことがない見た目の券売機を使って購入するといいでしょう。オムロンの券売機と高見澤の券売機とでは、そこそこ券面デザインが異なります

一方、京急のようにオムロン V8ワンメイクとかいうクソつまらない鉄道会社の場合は、券売機でばかり使ってないで定期券窓口まで出向いてみるというのもまた一考です。京急の場合だと窓口には東芝の機械を入れているようで、有効期限のフォントが違うだけでなく、文字の間隔も若干違うものとなっています。大概の鉄道会社では券売機で定期券が買えるようになっているくせに、定期券窓口までの無償乗車を認めてくれています。駅員氏に、券売機で定期券を買えないアホのふりをして、定期券窓口で買いたい旨を相談してみましょう。

定期券の区間を変える

このように書くと、何で使わない区間まで買わなければならないんだ???となるかもしれません。それは思い込みです。純粋に発券区間を逆転 (A駅⇔B駅をB駅⇔A駅で購入) してしまえばいいのです。

これには一つ問題があって、節タイトルの通り区間を変えているわけですから、継続の扱いで定期券を購入することはできません。従って (通勤定期であれば) 朝の忙しい時間に券売機で定期券発券RTAをするか、(通勤・通学定期どちらでも) 磁気定期で一回発券してからICカード乗車券に載せ直すという手間をかけなければなりません。

同時に、連絡乗車券の場合は券面左側の駅が属する事業者 (上記の例であればA駅が属する社局) で購入しなければならない、と主張する窓口氏ないしは券売機が存在する可能性があります (それに対する東京都交通局における反例が存在している)。

ちなみにJR東を通勤定期で利用している場合、分割定期二区間定期をこねくり回した方が一区間で普通に買うより安い場合もあります。この場合は区間をこねくり回して文字あたりの大きさを小さくし、8通りの印字の組み合わせを楽しむというのもまた一考でしょう。ちなみにJR西でも分割定期は発券でき、券面レイアウトが変わるだけでなく安くなる場合があるので検討してください。

ICカードを入れる向きを変える

この方法は、東京都交通局日本信号製の券売機では使えない方法 (横浜市交通局の物では利用できそうである) となります。京急で採用されているオムロン V8の場合、定期を発券する際に逆向き (矢印を手前にして挿入) に挿入すると、印字位置が右に5mmほどズレます。

理由は推測となりますが、PASMOカードの右側には切り欠きが存在しているため、短い行程で印刷する場合はICカードプリンタの印刷範囲は券中央から見て左側が広く、右側が狭い構造とするのが合理的です。オムロン V8ではこの合理的な構造を愚直に採用していると考えられ、一方でICカードの上下左右は裏面の券番とは反対側にある黒い塗りつぶしで正確に把握しており、カードが180度回転している際に印刷内容も180度回すという処理が入っているとみなすのが妥当です。一方で180度カードが回転していても印刷内容を左に動かすという処理がなされていないため、右に5mmほどズレたと考えられます。

ちなみにオムロン V8はJR東海・JR西でも導入されているため、前記の分割定期が利用できない場合でも利用できる手法と考えられます。

裏に細工する

さて、ここからは話が真っ黒になります。

前述のように自動券売機は裏のマークでICカードの上下左右や定期券・企画券が印刷できるかを認識しています。従ってこれを改竄 (180度回った位置に書き入れる) してしまえば理論上、右に印刷がズレるどころか印刷が180度回った定期券を得ることが可能となるわけです。

一方でこのような印刷が180度回ってしまった定期券、それも痛みまくったICカードに載っている (新券であれば券売機投入時のミスも考えうる) ということはカードに細工して発券したということは自明です。

このため券面表示事項が不鮮明であること以上に不正乗車ICカード定期券の偽造や変造を疑われることになり、最初に触れた片道運賃相当額の6倍に日数をかけた物が請求・残高の没収となるリスクが高まるわけです。特にJR西の場合、他のJRで発券されていただけで没収されそうになった、という相当ユカイな話を聞いたことがあるので、おすすめは致しかねます。

企画券用にとっておく

鉄道車両の3Rのリユースとして、"静態保存する" を挙げるくらいバカげた話ですね! (白目)

最近は西武東京メトロパス東京メトロPASMO1日乗車券のような企画券がPASMOでも発券できるようになっています。

その一方で定期券情報が載っているPASMOカードには企画券を載せることができず、それ専用のカードが必要になってしまいます。従って新しいカードで定期券を購入して現在のカードを企画券用に回すことにより、券面が不鮮明なことによる没収リスクを減らすとともに、定期券では印字しないような部分にまで印字することになるので、"まんべんなく書き換えようとする方法" という条件 *には* 合致できると考えます。

むすびに

いかがでしたか? 他者のブログを引用してばかりで、hadsn本人が発券し、検証した画像がほとんど無い状態となっていますが、いずれはこれらの画像を追加していきたいと思います。乞うご期待。